海外転職:ベトナムの給与
月収50万円超も可能 通貨・手当・為替がカギに
経済成長を続けるベトナムは、日本人にとっても人気の海外転職先のひとつです。温暖な気候と親日的な文化に加え、生活コストの低さと安定した雇用環境が魅力とされています。現地での生活やキャリアを考えるうえで、最も気になるのが給与水準です。
給与は米ドル表記が一般的、支払いもドル建てが増加
ベトナムの通貨は「ベトナムドン(VND)」ですが、桁数が非常に大きいため、求人票や契約書では「米ドル(USD)」で給与が記載されることが一般的です。実際の支払いも、米ドル建てで行われる企業が増加傾向にあります。このため、為替レートの影響を受けやすく、特に円安が進行している時期には、日本円に換算した際の実質的な給与が高くなるというメリットもあります。
ベトナム給与目安:職種別・役職別の月収
以下は、ベトナムにおける日本人向け求人の**月収例(Gross:諸手当・税・社会保険料込み)です。特に技術職や管理職では、月収5,000ドル(約72万円)を超えるケースもあり、高い専門性が評価される傾向にあります。
(※1USD ≒ 145円、2025年5月時点の為替レートに基づく)
職 種 | 一般レベル | 管理職レベル |
営業 | 1,800 ~ 2,500 USD(約261,000円〜362,500円) | 2,500 ~ 4,000 USD(約362,500円〜580,000円) |
カスタマーサービス | 1,500 ~ 2,000 USD(約217,500円〜290,000円) | 2,000 ~ 3,000 USD(約290,000円〜435,000円) |
技術(製造/建設/インフラ) | 2,500 ~ 3,500 USD(約362,500円〜507,500円) | 3,000 ~ 5,000 USD(約435,000円〜725,000円) |
IT | 2,000 ~ 2,500 USD(約290,000円〜362,500円) | 2,500 ~ 4,000 USD(約362,500円〜580,000円) |
総務・経理・その他営業事務 | 1,800 ~ 2,500 USD(約261,000円〜362,500円) | 2,500 ~ 5,000 USD(約362,500円〜725,000円) |
※上記はあくまで目安であり、企業規模、地域、経験年数、スキルセットによって大きく変動します。
生活費とのバランス:現地採用でも十分な生活が可能
ベトナムは、家賃・食費・交通費などの生活コストが日本よりも大幅に安く、現地採用であっても十分に生活していける給与水準が確保されているケースが多く見られます。
給与交渉のポイント:「額面」だけでなく「通貨」と「手当」に注目
海外転職を検討する際は、給与額だけでなく、支払い通貨(USDかVNDか)や手当の有無、税金・社会保険の控除後の手取り額にも注目することが大切です。また、為替の動向も収入に大きく影響するため、ドル建て給与のメリット・リスクを理解したうえで総合的に判断することが、後悔しない転職につながります。
海外転職:ベトナムのボーナス
海外転職先として人気の高いベトナム。給与水準や生活費の安さに加え、ボーナス制度も気になるポイントのひとつです。今回は、ベトナムで働く際のボーナス事情について、日系企業を中心にご紹介します。
年1回の支給が一般的、支給額は企業・業績次第
ベトナムでは、年に1回のボーナス支給を行う企業が多く見られます。支給時期は企業によって異なりますが、旧正月(テト)前の1月〜2月に支給されるケースが一般的です。
支給額は、業種や企業の業績、個人の評価によって大きく異なります。特に外資系企業や日系企業では、業績連動型のボーナス制度を導入しているところも多く、成果に応じた報酬が期待できます。
日系企業の平均支給額は「基本給1か月分」程度
日系企業におけるボーナスの平均支給額は、年間で基本給の1か月分程度が目安とされています。ただし、企業の業績が好調な場合や、個人のパフォーマンスが高く評価された場合には、2か月分以上の支給が行われることもあります。
また、営業職などのポジションでは、売上に連動したインセンティブボーナスを別途支給する企業もあり、成果次第で大きな収入アップが見込める環境です。
ボーナス制度の有無は事前確認を
ベトナムでは、すべての企業がボーナスを支給しているわけではありません。特にローカル企業やスタートアップでは、ボーナス制度がない、または不定期支給というケースもあります。
そのため、転職活動の際には、雇用契約書や面接時にボーナス制度の有無・支給基準を確認することが重要です。給与だけでなく、ボーナスや福利厚生を含めた「総合的な待遇」で判断することが、後悔しない転職につながります。
海外転職:ベトナムの福利厚生・諸手当
海外転職を検討する際、給与と並んで気になるのが「福利厚生」。ベトナムでは企業によって制度に差があるため、事前の確認が重要です。今回は、ベトナムで働く際に知っておきたい福利厚生・諸手当のポイントを解説します。
福利厚生・手当は企業ごとに異なる
ベトナムでは、福利厚生や手当の内容は企業によって大きく異なります。特に日系企業や外資系企業では、日本と同様の手当制度を導入しているケースも多く見られますが、ローカル企業では制度が限定的な場合もあります。転職活動の際には、雇用契約書や面接時に福利厚生の内容をしっかり確認することが大切です。
主な手当・福利厚生の例
以下は、ベトナムで働く際に確認しておきたい主な手当・福利厚生の項目です:
住宅手当:家賃補助として月額支給されるケースが多く、特にホーチミンやハノイなど都市部では重要な要素です。
交通手当:通勤費や社用車の提供など、移動に関する補助。
通信費補助:業務用の携帯電話やインターネット費用の一部を会社が負担。
一時帰国費用:年に1回、日本への往復航空券を支給する企業もあります。
健康保険:ベトナムでは健康保険への加入が義務付けられており、保険料は基本給の一定割合(約1.5%)が個人負担となります。
社会保険は任意加入、民間医療保険の導入も進む
ベトナムでは、社会保険(年金・失業保険など)は外国人にとって任意加入となっており、企業によって対応が異なります。一方で、健康保険は強制加入であり、企業と従業員がそれぞれ一定割合を負担します。また、多くの企業では、日系クリニックやインターナショナル病院での診療が可能な民間医療保険(海外傷害保険)に加入しており、現地での医療アクセスをサポートしています。
給与だけでなく「総合的な待遇」で判断を
ベトナムでの就職・転職を成功させるためには、給与額だけでなく、福利厚生や手当の内容も含めた「総合的な待遇」で判断することが重要です。特に、医療や住居に関するサポートは、現地での生活の質に直結するため、事前にしっかり確認しておきましょう。
海外転職:ベトナムの税金(ベトナムの所得税)
税率は最大35%、福利厚生も課税対象に
海外転職先として人気のベトナム。給与や生活費に加えて、現地での「税金」も重要な検討ポイントです。今回は、ベトナムで働く日本人が知っておくべき所得税制度の基本と注意点を解説します。
所得税は暦年ベース、累進課税で最大35%
ベトナムの個人所得税(PIT)は、1月1日から12月31日までの暦年ベースで計算されます。税率は5%から35%の累進課税制で、課税所得が高くなるほど税率も上がります。
課税収入 | 税率 |
~5,000,000 | 5% |
~10,000,000 | 10% |
~18,000,000 | 15% |
~32,000,000 | 20% |
~52,000,000 | 25% |
~80,000,000 | 30% |
80,000,001以上 | 35% |
居住者・非居住者で課税範囲が異なる
ベトナムでは、年間183日以上滞在する外国人は「税務上の居住者」とみなされ、全世界所得(日本での給与も含む)が課税対象となります。一方、183日未満の滞在者は「非居住者」となり、ベトナム国内で得た所得のみに対して20%の一律課税が適用されます。
福利厚生も原則課税対象、住宅手当や帰国費用も注意
ベトナムでは、住宅手当、通信費、健康診断費用などの福利厚生も原則として課税対象となります。たとえば、会社が負担する家賃については、「実際の家賃」と「給与の15%」のいずれか低い金額が課税所得に加算されます。ただし、年1回の一時帰国費用や全従業員向けの健康診断費用など、一部は非課税扱いとなる場合もあります。
納税は源泉徴収+年末調整、日本での給与も申告対象
ベトナムでの納税は、毎月の源泉徴収、年末調整、確定申告という流れで行われます。日本と同様に、勤務先の人事・経理部門が代行するのが一般的です。また、日本で支払われる給与がある場合は、四半期ごとにベトナムで申告・納税する義務があります。これを怠ると、追徴課税や罰則の対象となる可能性があるため注意が必要です。
控除制度もあり、扶養控除や社会保険料が対象
ベトナムでは、以下のような控除制度が設けられています:
基礎控除:月額1,100万VND
扶養控除:1人あたり月額440万VND(18歳未満の子どもなど)
社会保険・健康保険・失業保険の個人負担分
税務リスクを避けるには「正確な理解」と「早めの対応」がカギ
ベトナムの所得税制度は、日本と似ている部分もありますが、居住者判定や福利厚生の課税範囲など、独自のルールも多く存在します。特に駐在員や現地採用で働く日本人にとっては、税務リスクを避けるためにも、制度の正確な理解と早めの対応が重要です。
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