海外転職:タイの給与
営業・技術職で高水準 ボーナスは最大6ヶ月分も
東南アジアの中でも日系企業の進出が特に活発なタイでは、日本人の現地採用が年々増加しています。2025年現在、現地で働く日本人の給与水準は職種や経験によって大きく異なりますが、生活コストとのバランスを考慮すると、非常に魅力的な条件が整っていると言えます。
生活コストとのバランス:実質的な可処分所得が高い
タイは、家賃・食費・交通費などの生活コストが日本よりも大幅に安く、月収30万円台でも快適な生活が可能です。これにより、実質的な可処分所得が高くなる傾向にあります。
タイ給与目安:職種別・役職別の月収
(※1B≒ 4.5円、2025年5月時点の為替レートに基づく)
職種 | 一般レベル | 管理職レベル |
内勤事務/総務等 | 5~8万B(約22.5万〜36万円) | 8~15万B(約36万〜67.5万円) |
経理・財務 | 5~8万B(約22.5万〜36万円) | 10~18万B(約45万〜81万円) |
カスタマーサービス | 5~8万B(約22.5万〜36万円) | 8~10万B(約36万〜45万円) |
営業 | 6~12万B(約27万〜54万円) | 10~15万B(約45万〜67.5万円) |
技術(製造業) | 8~13万B(約36万〜58.5万円) | 10~18万B(約45万〜81万円) |
技術(建設/インフラ) | 8~13万B(約36万〜58.5万円) | 10~18万B(約45万〜81万円) |
IT(※ヘルプデスク等含む) | 7~12万B(約31.5万〜54万円) | 10~15万B(約45万〜67.5万円) |
MD(会社代表) | - | 20~30万B(約90万〜135万円) |
※上記はあくまで目安であり、企業規模、地域、経験年数、スキルセットによって大きく変動します。
タイで働く:タイのボーナス
ボーナスは年2回、製造業では6ヶ月分も
2025年現在、タイに進出する日系企業では、ボーナスの支給が年に1〜2回行われるのが一般的となっています。特に製造業では、業績に応じて最大6ヶ月分以上のボーナスが支給されるケースもあり、現地採用の日本人にとっても大きな魅力となっています。
支給頻度と平均額
日系企業におけるボーナスの支給は、年末と業績連動の2回が主流です。平均的な支給額は、基本給の2〜3ヶ月分とされており、企業の業績や個人の評価によって増減があります。
特に製造業では、業績が好調な企業において、年間6ヶ月分以上のボーナスが支給される例も確認されています。一方で、非製造業では1〜2ヶ月分が一般的な水準とされています。
初年度の注意点
多くの企業では、入社初年度はボーナス支給の対象外となる場合があります。これは試用期間や評価期間の関係によるもので、入社時の雇用契約に明記されていることが多いため、事前の確認が重要です。
高待遇の条件とは
給与やボーナスの水準は、職種・経験・語学力によって大きく異なります。特にタイ語や英語に堪能な人材、またマネジメント経験を持つ人材は、高待遇で採用される傾向があります。
また、勤務地による給与差はほとんどなく、バンコクと地方都市(チョンブリなど)でも同水準の給与が支払われているのが現状です。
生活コストとのバランスも良好
タイの物価は日本の約3分の2とされており、給与水準が日本よりやや低くても、生活の質を維持しながら貯蓄も可能です。バンコクでは、ジムやプール付きのコンドミニアムが月7万円前後で借りられるなど、コストパフォーマンスの高い生活が実現できます。
タイで働く:タイの福利厚生・諸手当
交通手当から医療保険まで、企業ごとに異なる支援制度
タイで働く日本人にとって、給与と並んで重要な要素となるのが福利厚生や諸手当です。2025年現在、現地採用の日本人に対しても、企業ごとにさまざまな支援制度が用意されていますが、その内容は会社によって大きく異なるため、就職・転職時には事前の確認が欠かせません。
主な福利厚生と導入率
タイの日系企業が導入している福利厚生の主な内容と導入率は以下の通りです。
項目 | 内容 |
賞与 | 年1〜4ヶ月分(企業業績・個人評価による) |
住宅手当 | 月5,000〜15,000バーツ支給 |
通勤手当 | 実費支給または定額支給 |
自動車貸与 | 通勤用車両の貸与(ガソリン代込みの場合もあり) |
携帯電話支給 | 業務用携帯の貸与 |
民間医療保険 | 入院・通院をカバーする保険を企業が負担 |
一時帰国手当 | 年1〜2回の航空券費用補助 |
健康診断 | 年1回の健康診断を企業負担で実施 |
ビザ・WP取得費用 | 就労ビザ・ワークパーミットの取得・更新費用を全額負担 |
赴任時の渡航費 | 初回赴任時の航空券や移動費の補助 |
プロビデントファンド | 任意加入の退職金積立制度 |
交通・医療関連の支援が充実
バンコクなど都市部ではBTSやMRTが整備されていますが、郊外や地方では公共交通機関が不十分な地域もあります。そのため、通勤や営業活動用に社有車が貸与されるケースや、乗合車による送迎が用意される企業も多く見られます。また、タイでは社会保険への加入が義務付けられており、保険料は月額750バーツ(約3,400円)です。これに加えて、多くの企業が民間の団体医療保険にも加入しており、日本語通訳サービスのある私立病院でも利用可能なプランが提供されています。
福利厚生の差は企業規模や業種による
福利厚生の内容は、企業の規模や業種、日系・外資系の違いによっても大きく異なります。特に現地採用の場合、日本国内の基準とは異なる点が多いため、オファーレターや雇用契約書での明記が重要です。
総合的な判断がカギ
タイでの就職を検討する際は、給与額だけでなく、ボーナス制度や生活費とのバランス、福利厚生なども含めて総合的に判断することが大切です。
タイで働く:タイの税金(タイの所得税)
累進課税で最大35% 企業が代行するケースも一般的に
タイで働く日本人にとって、現地の所得税制度を理解することは非常に重要です。タイの所得税は、日本と同様に1月から12月までの暦年ベースで計算され、累進課税制度が採用されています。2025年現在の税率は0%から最大35%までとなっており、所得額に応じて段階的に課税されます。
課税所得(年間) | 税率 |
~150,000バーツ | 0% |
150,001~300,000バーツ | 5% |
300,001~500,000バーツ | 10% |
500,001~750,000バーツ | 15% |
750,001~1,000,000バーツ | 20% |
1,000,001~2,000,000バーツ | 25% |
2,000,001~4,000,000バーツ | 30% |
4,000,001バーツ以上 | 35% |
納税の流れと申告方法
タイでは、給与を受け取る従業員は、年に一度、税務当局から送付される納税申告書に基づき、会社が発行する給与証明書(証明書類:PND1など)を添えて申告を行います。ただし、実務上は多くの企業で人事・経理部門が従業員に代わって申告手続きを行うのが一般的です。
また、タイでは日本のような「年末調整制度」は存在せず、確定申告は原則として個人の責任で行う必要があります。特に現地採用者や駐在員の場合、日本とタイの両国での所得申告が必要になるケースもあるため、注意が必要です。
居住者の定義と課税対象
タイでは、1年間に180日以上滞在した場合、税法上の「居住者」とみなされます。居住者は、タイ国内外で得た所得のうち、タイに持ち込んだ国外源泉所得についても課税対象となります。
課税対象となる所得には、給与、賞与、住宅手当、福利厚生、株式譲渡益、仮想通貨の利益などが含まれ、現物支給も課税対象となる点が日本と異なります。
専門家のサポートも有効
特に初めて海外で働く方にとっては、現地の会計事務所や税理士などの専門家のサポートを受けることで、安心して納税手続きを進めることができます。タイでの就職や転職を検討する際には、給与額だけでなく、税引き後の手取り額や申告義務の有無についても事前に確認しておくことが重要です。
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