海外転職:マレーシアの給与
月収68万円超も可能 生活コストとのバランスが魅力
温暖な気候と多文化共生の社会環境、そして比較的安定した経済成長を背景に、マレーシアは近年、海外転職や移住先として注目を集めています。特に日本人を含む外国人にとって、給与水準と生活費のバランスが魅力とされており、現地採用・駐在員を問わず関心が高まっています。
マレーシア給与目安:職種別・役職別の月収
マレーシアでの給与は月収ベースで提示されるのが一般的です。
以下は、代表的な職種における一般職と管理職の月収例です。特に技術職や管理職レベルでは、月収がRM20,000(約68万円)を超えるケースもあり、日本と同等またはそれ以上の待遇を得られる可能性もあります。
(※1RM ≒ 34円、2025年5月時点の為替レートに基づく)
職 種 | 一般レベル | 管理職レベル |
内勤事務/総務等 | RM6,500 ~ 7,500(¥221,000〜¥255,000) | RM7,500 ~ 18,000(¥255,000〜¥612,000) |
経理・財務 | RM7,500 ~ 10,000(¥255,000〜¥340,000) | RM10,000 ~ 20,000(¥340,000〜¥680,000) |
カスタマーサービス | RM7,000 ~ 10,000(¥238,000〜¥340,000) | RM10,000 ~ 15,000(¥340,000〜¥510,000) |
営業 | RM7,000 ~ 10,000(¥238,000〜¥340,000) | RM10,000 ~ 15,000(¥340,000〜¥510,000) |
技術(製造業) | RM8,000 ~ 10,000(¥272,000〜¥340,000) | RM10,000 ~ 20,000(¥340,000〜¥680,000) |
技術(建設/インフラ) | RM8,000 ~ 20,000(¥272,000〜¥680,000) | RM20,000 ~ 30,000(¥680,000〜¥1,020,000) |
IT (※ヘルプデスク等含む) | RM7,000 ~ 12,000(¥238,000〜¥408,000) | RM12,000 ~ 15,000(¥408,000〜¥510,000) |
※上記はあくまで目安であり、企業規模、地域、経験年数、スキルセットによって大きく変動します。
生活費とのバランス:実質的な可処分所得が高い傾向
マレーシアは、住居費・食費・交通費などの生活コストが日本よりも低く抑えられる傾向があります。たとえば、都市部でも家賃は東京の半額以下というケースも多く、給与水準が日本より低くても、実質的な生活のゆとりは大きいといえます。
そのため、現地での貯蓄や資産形成を重視する人にとっては、非常に魅力的な環境といえるでしょう。
駐在員と現地採用の違い:待遇に大きな差も
マレーシアで働く日本人には、日本本社から派遣される駐在員と、現地企業または日系企業の現地法人で直接雇用される現地採用の2つの形態があります。
駐在員:住宅手当、帰国費用、子女教育手当など手厚い福利厚生がある一方、任期が限られることも。
現地採用:マレーシアの労働法に基づく給与体系で、待遇は控えめだが自由度が高い。
海外転職:マレーシアのボーナス
マレーシアでの就業を検討する際、給与と並んで気になるのが「ボーナス(賞与)」の支給状況です。日本と同様に、マレーシアでも年に1回から2回のボーナスが支給されるケースが一般的ですが、その内容は業種や企業、さらには個人の業績によって大きく異なります。
一般的な支給水準
マレーシアにおけるボーナスは、年1回から2回の支給が一般的で、支給額は基本給の1〜3か月分が目安とされています。特に年末に支給される「アニュアルボーナス(Annual Bonus)」は、企業の業績や従業員の評価に基づいて決定されることが多く、業績連動型の色合いが強いのが特徴です。一部企業では、ボーナス支給回数を年1回から2回に増やすことで、従業員の定着率が向上したという報告もあります。これは、マレーシアにおける人材確保の難しさを背景に、企業が待遇改善に取り組んでいる一例です。
有期雇用契約では注意が必要
一方で、有期雇用契約(Fixed-Term Contract)で働く場合、ボーナスが支給されないケースもあります。契約書に明記されていない限り、ボーナスの支給は保証されていないため、雇用契約の内容を事前にしっかり確認することが重要です。
業種による違いも
製造業やIT業界などでは、業績に応じてインセンティブや特別賞与が支給されることもありますが、カスタマーサービスや事務職などでは、固定額のボーナスにとどまる場合もあります。企業文化や業界慣習によっても差があるため、転職活動の際には、面接時にボーナス制度について具体的に確認することが推奨されます。
海外転職:マレーシアの福利厚生・諸手当
海外転職を検討する際、給与やボーナスと並んで重要となるのが「福利厚生」や「諸手当」の内容です。マレーシアでは、企業ごとに提供される制度が大きく異なるため、転職前にしっかりと確認しておくことが求められます。
主な手当・福利厚生の項目
マレーシアで働く際に、企業から提供されることの多い手当や福利厚生には、以下のようなものがあります:
住宅手当:家賃補助として支給されるケースが多く、特に都市部では重要な支援となります。
交通手当:通勤費の補助。都市中心部以外では公共交通機関が未整備なため、営業職などには社用車が貸与されることもあります。
健康保険:マレーシアには日本のような公的健康保険制度がないため、企業が医療費を負担するのが一般的です。負担方法や補償範囲は企業によって異なります。
一時帰国費用:年に1回程度、日本への帰国費用を補助する制度を設けている企業もあります。
通信費補助:業務用の携帯電話やインターネット費用を一部負担するケースも見られます。
日系企業に多い「グループ傷害保険(PA)」
日系企業では、従業員の医療費や事故に備えて、**グループ傷害保険(Personal Accident Insurance:PA)**に加入していることが多く見られます。これは、入院費や通院費、手術費などをカバーするもので、現地の医療事情に不安を感じる駐在員にとっては安心材料となります。
法定福利厚生
マレーシアでは、EPF(従業員積立基金)やSOCSO(社会保障機構)への拠出が法定で義務付けられており、これらは給与から自動的に控除されます。ただし、外国人駐在員や非居住者は任意加入となるため、企業が代替的な保険制度を提供することが多いです。
病気休暇や育児休暇
勤続年数に応じて、年間14〜22日の病気休暇が取得可能で、入院時には最大60日間の休暇が認められています。
契約内容の確認がカギ
福利厚生の内容は、企業の規模や業種、ポジションによって大きく異なります。特に現地採用の場合は、日本本社の制度とは異なるケースが多いため、雇用契約書に記載された内容をよく確認することが重要です。マレーシアでの生活を快適に、そして安心して送るためには、給与だけでなく、こうした福利厚生の充実度も大きなポイントとなります。転職活動の際には、待遇面を総合的に比較・検討することが、満足度の高いキャリア選択につながるでしょう。
海外転職:マレーシアの税金(マレーシアの所得税)
海外転職先として人気の高いマレーシア。生活コストの安さや多文化環境が魅力とされる一方で、現地で働く際には「所得税制度」についての理解が欠かせません。マレーシアの所得税は、日本とは異なる特徴を持っており、特に転職初年度には注意が必要です。
所得税は暦年ベース、累進課税制を採用
マレーシアの所得税は、1月から12月までの暦年ベースで計算されます。課税方式は累進課税制で、所得に応じて0%から最大30%の税率が適用されます。
たとえば、年間所得が5,000リンギット以下であれば非課税ですが、所得が増えるにつれて段階的に税率が上がり、200万リンギットを超える部分には30%の税率が適用されます。
所得範囲(RM) | 税率 |
0 ~ 5,000 | 0% |
5,001 ~ 20,000 | 1% |
20,001 ~ 35,000 | 3% |
35,001 ~ 50,000 | 8% |
50,001 ~ 70,000 | 14% |
70,001 ~ 100,000 | 21% |
100,001 ~ 200,000 | 24% |
200,001 以上 | 30% |
非居住者は一律30%課税
マレーシアでは、「居住者か非居住者か」によって税率が大きく異なります。原則として、1年間に182日以上マレーシアに滞在していない場合は「非居住者」とみなされ、所得に対して一律30%の税率が課されます。
このため、転職や赴任直後の最初の6か月間は、非居住者扱いとなる可能性が高く、実質的な手取り額が減少することもあるため注意が必要です。
年末調整制度はなし、自己申告が基本
日本のような年末調整制度はマレーシアには存在せず、すべての納税者が自らオンラインで確定申告を行う必要があります。申告期限は通常、翌年の4月30日までとされており、期限内に申告・納税を完了させることが求められます。
控除制度も存在
マレーシアにも、生命保険料控除や医療費控除、扶養控除などの各種控除制度が設けられており、条件を満たせば課税所得を減らすことが可能です。ただし、控除の内容や適用条件は日本とは異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
国外源泉所得の免税措置
2025年度の税制改正により、国外源泉所得の免税措置が2036年まで延長されました。これは、マレーシア居住者が海外から得た所得に対して非課税となる制度で、特に外国人投資家にとって有利です。
配当所得への課税
2025年から、年間100,000リンギット(約300万円)を超える配当所得に対して2%の課税が導入される予定です。ただし、国外配当は引き続き非課税です。
マレーシアでの就業をスムーズにスタートさせるためには、所得税制度の理解と、雇用契約における税務上の取り扱いの確認が不可欠です。特に初年度は非居住者扱いとなる可能性が高いため、税引後の実質収入を見積もる際には注意が必要です。
マレーシアへの転職&就職海外転職に関するご相談はこちらから マレーシアへの転職&就職に関しての情報もご参考ください。 |