海外転職:マレーシアの就労ビザ/就労許可書
東南アジアの中でも経済成長が著しいマレーシアでは、外国人の就労に際して「雇用パス(Employment Pass)」と呼ばれるビザの取得が必要となります。これは、主に専門職や管理職など、一定のスキルや経験を持つ外国人が対象となる就労許可制度です。2025年現在、この制度はより透明性とデジタル化が進み、申請者と企業の双方にとって効率的な仕組みへと進化しています。
雇用パスとは?
雇用パスは、マレーシア国内で法人登記された企業に雇用される外国人専門職・管理職向けのビザで、職種・給与・経験年数などに応じて3つのカテゴリーに分類されます。申請には、大卒で3年以上、短大卒で5年以上、高卒で7年以上の関連職務経験が必要とされており、履歴書や職務経歴書の詳細な記載が求められます。
カテゴリー | 最低月額給与 | 雇用期間 | 家族帯同 |
カテゴリーⅠ | 10,000リンギ以上 | 最長5年 | 可 |
カテゴリーⅡ | 5,000〜9,999リンギ | 最長2年 | 可 |
カテゴリーⅢ | 3,000〜4,999リンギ | 最長1年(最大2回更新可) | 不可 |
※カテゴリーⅠで制度上は最長5年の雇用が可能ですが、実際には1年更新が主流であるケースも多く、特に新規申請時は短期許可から始まる傾向があります。
※カテゴリーⅢ(給与3,000〜4,999リンギ)の申請には、内務省からの特別認可が必要であり、すべての企業が自由に申請できるわけではありません。
申請手続きと新制度「XPats Gateway」
2023年以降、マレーシア政府は申請プロセスの迅速化を目的に「XPats Gateway」というオンライン申請システムを導入しました。これにより、申請から発給までの期間は数週間〜数ヶ月程度とされ、従来よりも効率的な運用が可能となっています。
また、2025年からは「ePASS」制度が本格導入され、従来のパスポートへのビザ貼付に代わり、電子形式での就労許可証の発行が行われるようになりました。これにより、申請者は自身でビザをダウンロード・印刷できるようになり、手続きの簡素化が進んでいます。
雇用主側の要件と注意点
雇用パスの発給には、企業側にも一定の条件が課されます。たとえば、外資系企業の場合は最低払込資本金が50万〜100万リンギ必要とされ、またMYFutureJobsポータルでの求人広告掲載が義務付けられています。これは、まずマレーシア人に雇用機会を提供するという政府方針に基づくものです。
さらに、2025年からはカテゴリー変更時に「変更申請レター」の提出が義務化され、役職や給与が変わる場合には旧ビザのキャンセルと新規申請が必要となります。
短期就労には「プロフェッショナル・ビジット・パス」
1年未満の短期業務(研修、技術支援など)には「プロフェッショナル・ビジット・パス(Professional Visit Pass)」が適用されます。こちらも企業側の招聘が前提となり、就労内容に応じた書類提出が必要です。
今後の展望と注意点
マレーシア政府は、外国人労働者の受け入れにおいて「現地人との共存・補完」を重視しており、外国人雇用の透明性と適正性の確保に力を入れています。制度は今後も見直される可能性があるため、申請を検討する際は、マレーシア入国管理局や在日マレーシア大使館の最新情報を確認することが重要です。
海外転職:マレーシアで求められる英語力・語学力
多民族・多言語国家であるマレーシアでは、就職・転職を目指す外国人にとって「語学力」が重要な鍵となっています。特に英語は、ビジネスや日常生活のあらゆる場面で使用されており、就労を希望する日本人にとっても“必須スキル”といえる状況です。
英語は事実上の共通語
マレーシアの国語はマレー語(Bahasa Malaysia)ですが、実際のビジネスや教育の現場では英語が広く使用されています。多民族国家であるマレーシアでは、マレー系、中華系、インド系など異なる言語背景を持つ人々が共存しており、民族間の共通語として英語が機能しています。
特にクアラルンプールやペナンなどの都市部では、英語が日常的なコミュニケーション手段となっており、外資系企業や日系企業の現地法人でも社内公用語として英語を採用しているケースが一般的です。
職種別に異なる英語力の目安
求められる英語力は職種によって異なりますが、以下のような傾向があります:
カスタマーサポート・BPO業界:TOEIC700点以上が目安。英語での電話・メール対応が日常的に求められます。
営業職(日本人マーケット担当):社外では日本語中心でも、社内では英語でのやり取りが必要。TOEIC600点以上が望ましい。
貿易・商社・事務職:英語での書類作成や会議参加が求められ、TOEIC700点以上が基準とされることが多いです。
技術職・製造業:語学不問の求人も一部ありますが、現地スタッフとのやり取りやマニュアル読解のため、最低限の英語コミュニケーション力は必要です。
英語以外の言語も“プラス評価”に
マレーシアでは、中国語(主に広東語・客家語)やタミル語も広く使われています。特に中華系やインド系の地域・企業では、中国語やタミル語が話せると業務上有利になる場合もあります。ただし、英語が話せれば基本的な業務には支障がないケースがほとんどです。
英語力は“採用の分かれ目”に
近年では、英語力の有無が採用可否に直結するケースも増えています。面接時には英語での自己紹介や質疑応答が行われることが一般的であり、「英語で自分の意見を伝えられるか」が重視される傾向にあります。また、入社後の研修やマニュアルも英語で提供されることが多く、英語力が不足していると業務習得に時間がかかるリスクもあります。
面接や業務での「話す・聞く」能力が特に重要視されており、TOEICスコアが高くても実務で使えないと評価されにくい傾向があります。英語に不安がある場合でも、入社前にオンライン英会話や英語面接対策を行うことで、採用の可能性を高めることができます。
海外転職:マレーシアで求められるスキル・人物像
経済成長と多文化共生が進むマレーシアでは、外国人労働者に対しても高い専門性と柔軟な人間性が求められています。特に日本人が現地で就職・転職を目指す際には、語学力や職務経験に加えて、国際的な視野と異文化理解力が重要な評価ポイントとなっています。
専門性と実務経験が前提
マレーシアでの採用においては、同業界・同職種での実務経験があることが基本条件とされています。特に日系企業や外資系企業では、即戦力としてのスキルが重視されており、未経験からの転職は難易度が高い傾向にあります。IT、製造、BPO、観光、教育などの分野では、日本語と英語のバイリンガルスキルを活かしたポジションが多く、専門知識に加えて、現地スタッフとの円滑なコミュニケーション能力が求められます。特にIT・デジタル分野では、データ分析、クラウド、AI、サステナビリティ関連の知識があると評価が高まります。
多文化環境での柔軟性がカギ
マレーシアは、マレー系、中華系、インド系を中心とした多民族国家であり、宗教・文化・価値観の違いを尊重する姿勢が不可欠です。たとえば、イスラム教徒の同僚が礼拝の時間を大切にするように、文化的な背景を理解し、配慮することが信頼関係の構築につながります。現地企業では、「自分の常識が通じないことを前提に行動できる人材」が高く評価されており、柔軟性と共感力が重要な資質とされています。
グローバルマインドと語学力
マレーシアはASEANの中でも国際ビジネスの拠点として注目されており、グローバルな視点で物事を考えられる人材が求められています。英語はビジネスの共通語として広く使われており、TOEIC700点以上が一つの目安とされています。また、マレー語や中国語(広東語・客家語)、タミル語などが話せると、特定の地域や職場での信頼構築に役立つこともあります。BPOやカスタマーサポートなどでは、日本語ネイティブ+英語中級レベルで応募可能な求人もあり、キャリアチェンジの入り口として活用されています。
求められる人物像の特徴
マレーシアで活躍する人材に共通する特徴として、以下のような資質が挙げられます。
異文化への理解と尊重
柔軟な対応力と協調性
自律的に業務を遂行できる責任感
英語を中心とした多言語でのコミュニケーション力
変化を前向きに受け入れる姿勢
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