海外転職:アメリカの給与
年収1,000万円超も現実的 - 地域・職種で大きな差
アメリカは2025年現在も、世界の中で最も給与水準が高い国の一つとして知られています。特に専門職や技術職では、年収10万ドル(約1,450万円)を超えるケースも珍しくなく、キャリアアップを目指す日本人にとって魅力的な転職先となっています。
アメリカ給与目安:職種別・役職別の年収
以下は、アメリカでの代表的な職種における一般職と管理職レベルの年収例です。
(※1USD ≒ 145円、2025年5月時点の為替レートに基づく)
職 種 | 一般レベル | 管理職レベル |
内勤事務/総務等 | USD 60,000(¥8,700,000) | USD 100,000 (¥14,500,000) |
経理/財務/会計 | USD 70,000(¥10,150,000) | USD 120,000(¥17,400,000) |
カスタマーサービス | USD 60,000(¥8,700,000) | USD 80,000(¥11,600,000) |
営業 | USD 80,000(¥11,600,000) | USD 120,000(¥17,400,000) |
技術(製造業) | USD 70,000(¥10,150,000) | USD 120,000(¥17,400,000) |
技術(建設/インフラ) | USD 70,000(¥10,150,000) | USD 120,000(¥17,400,000) |
IT(ヘルプデスク等含む) | USD 70,000(¥10,150,000) | USD 120,000(¥17,400,000) |
※上記はあくまで目安であり、企業規模、地域、経験年数、スキルセットによって大きく変動します。
全米平均年収は約65,000〜80,000ドル
アメリカの給与水準は、業種や職種、地域によって大きく異なるのが特徴です。2025年の全米平均年収は約65,000〜80,000ドル(約940万〜1,160万円)とされており、特に都市部ではこの水準を上回る傾向があります。
たとえば、以下の州では全国平均を上回る年収水準が報告されています。一方で、南部や中西部の一部州では平均年収が低めとなっており、生活コストとのバランスを考慮した地域選びが重要です。
カリフォルニア州:76,960ドル
ニューヨーク州:78,624ドル
マサチューセッツ州:80,330ドル
高年収でも油断は禁物:生活コストとのバランスが重要
アメリカでは、家賃・医療費・教育費などの生活コストが非常に高い地域も多く、高年収であっても可処分所得が少ないケースもあります。特にカリフォルニア州やニューヨーク州などの都市部では、住宅費が年収の30〜40%を占めることも珍しくありません。
そのため、給与水準だけでなく、生活費・税金・保険制度などを含めた「実質的な生活のしやすさ」を考慮することが大切です。
海外転職:アメリカのボーナス
ボーナス制度の基本構造
アメリカでは、日本のような夏・冬の定期的なボーナス制度は一般的ではありません。その代わりに、年1回の業績連動型ボーナスが主流となっており、企業の業績や個人の評価に応じて支給額が決定されます。
また、営業職やマネジメント職では、成果に応じたインセンティブ制度が導入されており、年収に大きな差が生まれる要因となっています。
報酬体系の特徴と背景
このような報酬体系は、成果主義を重視するアメリカ企業の文化を反映したものであり、社員のモチベーション向上や企業の人件費コントロールを目的としています。
一方で、安定した収入を重視する日本人にとっては、収入の変動リスクが心理的な負担となることもあります。
株式報酬の活用
アメリカでは、ストックオプションやRSU(譲渡制限付き株式)といった株式報酬も一般的です。特にテクノロジー企業では、報酬の一部として株式を受け取るケースが多く、企業の成長と個人の報酬が連動する仕組みが構築されています。
海外転職:アメリカの福利厚生・諸手当
アメリカでの就職・転職を検討する際、給与と並んで重要な判断材料となるのが「福利厚生」です。日本と異なり、アメリカでは企業ごとに提供される福利厚生の内容が大きく異なるため、事前の確認が欠かせません。アメリカでは、法定外福利厚生(例:健康保険、401(k)、住宅手当など)は企業の裁量で提供されるため、内容や充実度に大きな差があります。
健康保険は「ライフライン」
アメリカには日本のような国民皆保険制度が存在しないため、雇用主を通じて加入する健康保険が生活の基盤となります。企業が提供する保険は通常、以下の3種類に分かれています。
保険料は給与から天引きされるのが一般的で、企業がその80%前後を負担するケースが多いとされています。配偶者や子どももカバーされるかどうかは企業のポリシーによって異なります。これらは別々の保険プランとして提供されるのが一般的で、Medical(医療保険)だけでは歯科や眼科はカバーされません。
医療保険(Medical)
歯科保険(Dental)
眼科保険(Vision)
401(k):確定拠出型年金制度
アメリカでは、公的年金(Social Security)に加えて、企業が提供する私的年金制度が一般的です。中でも代表的なのが「401(k)」と呼ばれる確定拠出型年金制度です。
従業員が給与の一部を積み立て、企業が一定割合を上乗せするマッチング拠出制度がある場合もあります。たとえば、「給与の5%まで100%マッチ」という条件であれば、年収10万ドルの従業員に対して企業が年間5,000ドルを追加拠出することになります。「給与の5%まで100%マッチ」などの制度は一般的で、企業が従業員の拠出額に応じて追加拠出することで、実質的な報酬の一部となります。
2025年時点では、50歳未満の年間拠出限度額は23,500ドル、50歳以上は追加で7,500ドルの「キャッチアップ拠出」が可能です。
その他の主な福利厚生・手当
企業によっては、以下のような法定外福利厚生を提供している場合もあります。ただし、交通費の支給は基本的に行われないのが一般的です。アメリカでは自家用車通勤が主流であり、公共交通機関の利用が前提とされていない地域が多いためです。都市部(例:ニューヨーク、サンフランシスコ)では公共交通費補助がある企業も存在します。
住宅手当
通信費補助
一時帰国費用の補助
引越し費用(Relocation Assistance)
社用車・PC・携帯電話の貸与
ジム費用補助
学費補助(Tuition Reimbursement)
自社株購入制度(Stock Option)
柔軟な働き方を支える制度も拡充
近年では、フレックスタイム制度やリモートワーク制度を導入する企業も増えており、従業員のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能になりつつあります。近年はリモートワーク、フレックスタイム、週4日勤務制度など、柔軟な働き方を支援する福利厚生が急増しています。
海外転職:アメリカの税金(アメリカの所得税)
累進課税と多様な控除が特徴 州ごとの違いにも注意
アメリカで働くうえで避けて通れないのが「所得税」の問題です。アメリカの税制は、連邦政府・州政府・一部の市町村がそれぞれ課税権を持つという特徴があり、居住地によって納税額が大きく異なることがあります。
所得税は累進課税制、2025年はインフレ調整で税率区分が変更
アメリカの所得税は、所得が高くなるほど税率が上がる累進課税制度を採用しています。2025年の連邦所得税率は以下の通りです。
税率 | 単身者 | 夫婦合算申告 | 世帯主 |
10% | $0〜$11,925 | $0〜$23,850 | $0〜$17,950 |
12% | $11,926〜$48,475 | $23,851〜$96,950 | $17,951〜$72,700 |
22% | $48,476〜$103,350 | $96,951〜$206,700 | $72,701〜$185,450 |
24% | $103,351〜$197,300 | $206,701〜$394,600 | $185,451〜$237,700 |
32% | $197,301〜$250,525 | $394,601〜$501,050 | $237,701〜$250,525 |
35% | $250,526〜$626,350 | $501,051〜$1,252,700 | $250,526〜$626,350 |
37% | $626,351以上 | $1,252,701以上 | $626,351以上 |
「世帯主」の申告ステータスは、子どもや扶養家族を持つ単身者などが対象となり、単身者よりも有利な税率区分が適用されるのが特徴です。
これらの税率は、インフレ調整により毎年見直されており、2025年も前年より若干引き上げられています。
所得源は多岐にわたる
課税対象となる所得は、給与だけにとどまりません。以下のような収入もすべて課税対象です。
特に非居住者(NRA)にとっては、米国内で得た所得に対しても申告義務が発生するため、注意が必要です。
投資収益(キャピタルゲイン)
不動産収入
自営業所得
年金
配当金
所得税申告は年1回、4月15日が締切
アメリカでは、自己申告制度(Self-Assessment)が採用されており、毎年4月15日までに確定申告を行う必要があります。申告には、所得、控除、免除、税額控除などの情報を正確に記載する必要があります。
控除制度を活用して節税を
アメリカの所得税には、さまざまな控除制度が用意されています。代表的なものは以下の通りです。これらの控除を適切に活用することで、課税所得を減らし、納税額を抑えることが可能です。
標準控除(2025年):
個人申告:$15,000
夫婦合算申告:$30,000
世帯主:$22,500
扶養控除
住宅ローン利子控除
慈善寄付控除
教育費控除
医療費控除(一定額を超える分)
州・市による追加課税にも注意
アメリカでは、州ごとに独自の所得税制度を持っているため、同じ年収でも手取り額に大きな差が生じることがあります。
たとえば:
最高税率が10%を超える州:カリフォルニア(13.3%)、ニューヨーク(10.9%)、ニュージャージー(10.75%)、ハワイ(11%)など
所得税がない州:テキサス、フロリダ、ネバダ、ワシントン、アラスカ、サウスダコタ、ワイオミング、テネシー
渡米前に確認すべきポイント
アメリカでの就労を検討する際は、給与だけでなく、税制や控除制度、居住地の税率なども含めた総合的な視点での資金計画が重要です。特に非居住者として渡米する場合は、日米間の租税条約や申告義務についても事前に確認しておくことが求められます。
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