海外転職:イギリスの就労ビザ/就労許可書
イギリスの就労ビザ
グローバルなキャリアを目指す日本人にとって、イギリスは依然として魅力的な就職先のひとつです。多国籍企業が集まるロンドンをはじめ、イギリス全土で国際的なビジネス環境が広がっています。しかし、イギリスで働くには、就労可能なビザの取得が必須です。
イギリス政府は、移民制度の透明性と公平性を高めるために「ポイントベースシステム(PBS)」を導入しており、申請者のスキルや職種、英語力、給与水準などに基づいて就労ビザの可否を判断しています。
Skilled Worker Visa:企業スポンサー型の主流ビザ
イギリスで最も一般的な就労ビザがSkilled Worker Visa(スキルド・ワーカービザ)です。このビザは、イギリス政府に認可された企業(スポンサー)からの正式な雇用オファーがあることが前提となっており、申請は企業側が行います。個人での申請はできません。
2024年4月以降、最低年収基準は£38,700(約760万円)に引き上げられ、特に新卒や未経験者にとってはハードルが高くなっています。ただし、人手不足職種(Shortage Occupation List)に該当する場合は、例外的に低い給与基準が適用されることもあります。
このビザの取得には、以下のような条件を満たすことが求められます。
短大卒業相当以上の学歴
正社員としての職務経験(3〜5年以上が目安)
英語力(IELTS for UKVIで4.0以上)
職務内容に通じる専門性やマネジメント経験など
企業側にとっても、スポンサーライセンスの取得や申請手続きには時間とコストがかかるため、すでに就労可能なビザを持つ人材が優先される傾向があります。それでも、IT、医療、エンジニアリング、金融などの分野では即戦力となる外国人材への需要が高く、スポンサーを積極的に行う企業も増えています。
その他の就労ビザの選択肢
Graduate Visa
イギリス国内の大学・大学院を卒業した留学生が対象で、学士・修士課程修了後は2年間、博士課程修了後は3年間の就労が可能です。企業スポンサーは不要で、自由に職を探すことができます。留学後に現地でキャリアをスタートさせたい方にとって、有力な選択肢です。
High Potential Individual Visa(HPI)
世界トップ50の大学を卒業後5年以内の人が対象で、日本では東京大学と京都大学が該当します。企業スポンサーは不要で、2年間(博士号保持者は3年間)就労可能です。学歴を活かしてイギリスでのキャリアを築きたい方に適しています。
Youth Mobility Scheme Visa(YMS)
日本国籍者向けの先着順制度で、2024年からは年間6,000人枠に拡大されました。対象年齢は18〜30歳で、最大2年間の就労が可能です。以前の抽選制から変更され、取得のチャンスが大きく広がりました。ワーキングホリデー感覚での就労や、キャリアの第一歩として活用されるケースが増えています。
制度の背景と今後の展望
イギリス政府は、ブレグジット後の新たな移民政策として、スキル重視・公平性重視の制度設計を進めています。EU国籍者と非EU国籍者を同等に扱うことで、日本人を含む非EU圏の人材にも門戸が開かれた一方で、制度の厳格化により、一定のスキルや経験が求められるようになりました。
今後は、AI、再生可能エネルギー、ライフサイエンスなどの戦略分野における人材誘致が強化される見通しであり、これらの分野での経験や専門性を持つ人材にとっては、チャンスが広がる可能性があります。
ビザ制度の理解がキャリアの鍵に
イギリスでの就職を目指すには、ビザ制度の仕組みと最新の条件を正しく理解することが不可欠です。特にSkilled Worker Visaは、企業側の負担も大きいため、事前にスポンサー資格のある企業を調べておくことが重要です。
また、留学や短期滞在を経て、段階的にキャリアを築くルートも有効です。詳細な条件や申請手続きについては、イギリス政府の公式サイト(gov.uk)をご確認ください。
海外転職:イギリスで求められる英語力・語学力
イギリスでの就職や転職を目指す日本人にとって、最も重要なスキルのひとつが「語学力」です。英語圏であるイギリスでは、英語での高度なコミュニケーション能力が求められるのは当然のことですが、それに加えて、多言語スキルが評価される場面も増えています。
英語力は「必須条件」──IELTS6.5以上が目安
イギリスでの就労において、英語力は採用の前提条件となっています。特にビジネスの現場では、会議、報告書作成、顧客対応、交渉など、すべてが英語で行われるため、実践的な運用力が不可欠です。
一般的に、以下のスコアが「ビジネスレベルの英語力」として目安とされています:
IELTS:6.5以上(理想は7.0以上)
TOEIC:800点以上(理想は850点以上)※企業によっては参考程度
CEFR:B2〜C1レベル
なお、イギリスの就労ビザ(Skilled Worker Visaなど)を申請する際には、「IELTS for UKVI」という特別な形式のIELTSで、各スキル(リスニング・リーディング・ライティング・スピーキング)で4.0以上のスコアが必要です。ただし、これはあくまでビザ取得の最低基準であり、実際の職場ではより高い英語力が求められるのが現実です。
英語力は「点数」よりも「使える力」
イギリスの職場では、英語の試験スコアよりも、実際に使えるかどうか=運用力が重視されます。「実務での英語力」は、日本国内での英語学習だけでは身につきにくく、現地での実践経験が大きな差を生みます。
たとえば:
会議で自分の意見を明確に伝えられるか
メールや報告書を正確かつ簡潔に書けるか
雑談やネットワーキングで自然に会話できるか
こうしたスキルは、日々の業務を円滑に進めるうえで不可欠です。
英語以外の語学力もキャリアの武器に
イギリスは多国籍企業が集まる国際都市であり、英語以外の言語スキルも高く評価される傾向があります。特に以下の言語は、特定の業界や地域とのビジネスで重宝されます。多言語対応が求められるカスタマーサポートや営業職では、「英語+1言語」のスキルが大きな強みになります。
ドイツ語:製造業、工業系、金融業界での需要が高い
フランス語:EU圏との連携や国際機関での業務に有利
オランダ語:物流、貿易、テクノロジー分野での活用が進む
イギリスでの日系企業における英語の必要性
2025年現在、イギリスには約1,000社以上の日系企業が進出しており、製造業、金融、IT、商社、飲食、リテールなど多岐にわたる業種で活動しています。特にロンドンやミッドランド地方には、自動車関連企業や金融機関、テクノロジー企業の拠点が集中しています。
また、日本語を活かせる職場も一定数存在しており、日本人顧客対応や日本本社との連携業務を担うポジションでは、日本語と英語のバイリンガル人材が重宝されています。
ただし、日系企業であっても、社内の共通言語は英語であることが一般的です。会議、報告書、メール、顧客対応など、日常業務の多くが英語で行われるため、実践的な英語運用力が求められます。特にマネジメント職や営業、プロジェクトマネジメントなどのポジションでは、高度な英語力が不可欠です。
語学力がキャリアに与える影響
語学力は、単に「採用されるかどうか」だけでなく、その後のキャリアパスにも大きな影響を与えます。語学力は「転職の条件」から「キャリアの資産」へと変化しています。イギリスでの就職・転職を成功させるためには、英語力は必須条件であり、他言語スキルは強力な差別化要素となります。
昇進やマネジメント職への登用
海外拠点との連携プロジェクトへの参加
国際会議や展示会でのプレゼンテーション機会
語学力は未来への投資
語学力は単なる「条件」ではなく、国際的な職場で信頼を築き、成果を上げるための重要なツールです。今後のキャリアを見据えるなら、語学力を「投資」として捉え、継続的に磨いていくことが求められます。
海外転職:イギリスで求められるスキル・人物像
欧州で働くために必要な適応力と経験とは
イギリスでの就職・転職を目指す日本人にとって、語学力に加えて重要となるのが、現地のビジネス文化への理解と適応力です。日本やアジア圏とは異なり、労働倫理感や職場でのコミュニケーションスタイルに違いがあるため、これらを理解し柔軟に対応できる人物が求められます。
欧米での就労経験は大きなアドバンテージ
イギリスでは、欧米での就労経験がある人材は即戦力として受け入れられやすい傾向があります。これは、現地の職場文化や働き方にすでに慣れていると判断されるためです。また、業界での職務経験も重視されるため、同業種でのキャリアがある場合は大きな強みとなります。
ビザの種類によって広がる選択肢
イギリスで働くには、就労可能なビザの保有が前提条件となります。たとえば:
配偶者ビザやパートナービザをお持ちの方は、就労に制限がないため、幅広い職種への応募が可能です。
YMSビザ(Youth Mobility Scheme/ワーキングホリデー)をお持ちの方も、就労可能な期間や職種に制限はあるものの、タイミングや企業のニーズによっては紹介可能なポジションが出ることがあります。
このように、ビザの種類によって応募できる職種や企業の幅が大きく変わるため、自身のステータスに合った戦略的な転職活動が求められます。
求められる人物像とは?
イギリスで評価される人物像には、以下のような特徴があります。これらの資質は、単なるスキル以上に重視されることも多く、採用面接でも具体的なエピソードを交えてアピールすることが効果的です。
自律的に行動できること(Self-starter)
多様な価値観を尊重し、チームで協働できること
文化の違いを理解し、柔軟に対応できること
オープンで率直なコミュニケーションができること
スキルと適応力の両輪でキャリアを築く
イギリスでの転職を成功させるには、語学力や職務経験に加えて、現地文化への理解と適応力が不可欠です。ビザの種類や就労条件を正しく把握し、自身の強みを活かせるポジションを見極めることが、キャリア形成の第一歩となります。
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